プネの魅力
プネという街
インドのプネ(पुणे, Pune)はインドで7番目に人口の多い都市で、マハーラーシュトラ州ではムンバイについで2番目に大きな都市です。2020年の人口はおよそ740万人。これまでに何度か「インドで最も住みやすい町」に選ばれています。
かつてはマラータ王国の行政の中心地であり、「デカンの女王」とも呼ばれていました。現在では、経済成長が著しく、自動車産業やIT産業が盛んです。プネはインドの中で主要なITハブとしては2番目に大きく、自動車および生産ハブとしては最も重要な都市です。また「東のオックスフォード」として知られ、数多くの研究機関が集まっています。
歴史と文化
プネの歴史は古く、8世紀にはすでに農村集落が存在していました。17世紀にはマラータ王国の首都となり、政治・文化の中心地として発展しました。現在でも、マラータ王国の歴史を物語る建造物や史跡が多く残っています。
プネはマハーラーシュトラ州の文化的な中心地でもあり、マラーティ語の演劇、音楽、文学などが盛んです。
経済と教育
近年、プネは経済都市としての地位を確立しています。特に自動車産業が盛んで、国内外の多くの自動車メーカーの工場が集積しています。また、IT産業も急速に成長しており、「インドのシリコンバレー」と呼ばれることもあります。教育都市としても有名で、プネ大学をはじめとする多くの大学や研究機関があります。国内外から多くの学生が集まり、活気あふれる学術都市としての顔も持っています。
観光
プネには、歴史的な建造物、寺院、博物館、庭園など、多くの観光スポットがあります。
- ダグドゥシェス・ハルワイ・ガンパティ寺院 (Dagdusheth Halwai Ganapati Temple): プネーで最も有名なガネーシャ寺院の一つです。豪華な内装で知られ、多くの参拝者が訪れます。
- アーガー・カーン宮殿: インド独立運動の歴史的な場所であり、マハトマ・ガンジーが一時投獄された場所としても有名です。
- シャニワール・ワーダー: かつてのマラータ王国の宰相ペーシュワーの居城でした。
- パタレーシュワラ石窟寺院: 8世紀に建てられたシヴァ神を祀る石窟寺院です。
- シンハガド砦: プネー郊外の丘の上にある歴史的な砦で、眺めが良いことで知られています。
- ラール・マハル: シヴァージー・マハラジが幼少期を過ごした宮殿と言われています。
プネは、緑が多く落ち着いた雰囲気もあり、歴史、文化、経済、教育が融合した都市です。
言語
プネで最も広く話されている言語はマラーティー語(मराठी, Marathi)です。マハーラーシュトラ州の公用語であり、プネ人口の大多数が日常的に使用しています。
しかし、プネは経済発展が著しく、インド各地から多くの人々が流入しているため、同じデーバナガリ文字を使うヒンディー語(हिन्दी, Hindi)も広く理解され、使われています。特にビジネスや教育の現場では、ヒンディー語が共通語として用いられることも少なくありません。
また、教育都市としての側面から、英語(English)も比較的多くの人に理解されています。特に若い世代やビジネスに関わる人々は、英語でのコミュニケーションも可能です。


プネの食生活
プネの食生活は、マハーラーシュトラ州の食文化を色濃く反映しており、スパイシーで風味豊かな料理が特徴です。
一般的な食事
典型的なプネの食事は、以下の要素で構成されることが多いです。
- 主食: ジョワール(モロコシ)やバジュラ(キビ)などの雑穀で作られたバクリ、チャパティ、米が一般的です。
- カレーや野菜料理: ダール(豆カレー)、野菜の炒め物や煮物など、様々な種類のカレーや野菜料理があります。
- 副菜: ピクルス、チャツネ、ヨーグルトなどが添えられます。
特徴的な料理
プネの特徴的な料理をいくつかご紹介します。
- ミサル・パウ (Misal Pav): 発芽させた豆のカレーに、sev(揚げスナック)、刻んだ玉ねぎ、コリアンダーリーフ、レモン汁などをトッピングし、パウ(パン)と一緒に食べるスパイシーな料理。
- ワダ・パウ (Vada Pav): スパイシーなマッシュポテトを揚げ、パウというパンに挟んだ、いわばインドのハンバーガー。ニンニクやチリのチャツネと一緒に食べる。
- バカルワディ (Bakarwadi): スパイシーな具材を小麦粉の生地で巻いて揚げた、カリカリとした食感のスナック。プネー発祥として知られる。
- ピタラ・バクリ (Pithla Bhakri): ヒヨコ豆粉で作った濃厚なカレー(ピタラ)を、ジョワールのパン(バクリ)と一緒に食べる、シンプルで滋味深い料理。
- プーラン・ポーリ (Puran Poli): チャナダールとジャガリを煮詰めた甘い餡を、薄い小麦粉の生地で包んで焼く。お祝い事には欠かせない。
- アムティ (Amti): スパイシーで酸味のある、豆のカレー。
- ワラン・バート (Varan Bhat): ダール(豆のスープ)とご飯のシンプルな組み合わせ。ギーをかけて食べることが多い。
- マトキ・キ・ウサル (Matki Ki Usal): モスビーンズ(ケツルアズキ)のスパイシーな料理でドライ、セミドライ、ウェットと色々な種類がある。
- ターリーピット (Thalipeeth): 数種類の穀物の粉を混ぜて作った、スパイシーなパンケーキのような料理。バターやヨーグルトと一緒に食べる。
- バタタ・ポーハ (Batata Poha): 乾燥米を水で戻して炒めたものにジャガイモを加えたポーハ。地域によって味付けや加える食材が変わる。朝食の定番。
- アルー・チ・ワディ (Alu Chi Vadi): サトイモの葉にスパイスを塗った生地を巻いて蒸し、揚げたり焼いたりしたもの。






お祭り
インドのお祭りは生活の中心にあります。1年を通じて多くのお祭りがあり、それにまつわる食事やお菓子とともにインド文化をまるごと感じられる最適な機会です。
現地の美味しいもの
























繰り返し訪れる街
パンチャカルマを受けるためにワゴリのBSDTパンチャカルマホスピタルを訪れたのは2018年が初めてでした。そこで一日3食食べていた病院食は私にとって満足感のある献立でありながら、消化にも軽いという、どこでも味わったことのない料理でした。
調べてみるとプネのあるマハーラーシュトラ州では雑穀やピーナッツ、ポピーシードをうまく料理に取り入れていること、pavと呼ばれるパンとカレーを合わせること、大きなお祭りのガネーシャ祭りに必須のmodakという餅のようなお菓子が有名であることなどが分かり、ますます興味を引かれました。
現在はプネを拠点としてアーユルヴェーダ、料理、文化を学んでいます。シンプルなお料理で飽きがこないターリー、パンと組み合わせたパウバジやミサル、雑穀の使い方は日本での料理にも活用できると思うので、その特徴を掘り下げていきたいと考えています。




